健康保険の医療費を全額自己負担した時に後から返してもらう方法

病気やケガなどで病院等にかかったときに保険証が手元になく、医療費を全額自己負担した。どうしたら自己負担の医療費を返してもらえるのだろうか?とお悩みの方もいるかもしれません。
払いすぎた医療費を返してもらう
このページでは、全額負担したうちの払いすぎた医療費を返してもらう手続きについて説明します。
病院等に相談する
かかりつけの病院等であれば保険証を持っていなくても、今月中に保険証を持ってくることを条件に、通常の2~3割の自己負担で済むこともあります。
また、「今回は全額自己負担してもらうけど、後日保険証と領収証を病院に持ってくれば払い戻しをしますよ」と言ってくれる病院もあります。
このように親切な病院等もありますので一度病院等の窓口に相談してみてください。
ただし、払い戻しするのが義務ではありませんので、すべての病院等が対応してくれるわけではありません。
加入している健康保険から返金してもらう
会社に勤めている場合、会社が加入している「協会けんぽ」や「健康保険組合」で療養費の申請手続きをします。
申請手続きの説明の前に「療養の給付」と「療養費」について簡単に説明します。
療養の給付とは
保険証を持って病院等にかかった際に2~3割の自己負担額を支払い診療を受けることを「療養の給付」といいます。
療養費とは
保険証を持たずに病院等にかかり医療費の全額を支払ったときに、あとで申請することにより払い戻しを受けることができる制度のことです。
本人の場合は「療養費」、扶養する家族の場合は「家族療養費」と呼びます。
療養費の支払は、療養の給付を受けることが困難であるとき、やむを得ないと認めたときに限り支払われます。
療養費が支払われる主なケース
・資格取得届の手続き中で保険証を提示できず、自費で診療を受けたとき
・やむを得ず保険医療機関でない病院などで診療を受けたとき
・海外で受診したとき
・治療用装具等(コルセット・サポーター等)を医師の指示により作成し、装着したとき
・生血液を輸血したとき
・はり・灸・あんま・マッサージの治療を医師の同意を得て受けたとき
・柔道整復師(接骨院・整骨院)の施術を受けたとき
など
療養費として返金されるのはいくら?
病院で全額自己負担した金額から、保険証を使ったら負担したであろう金額を差し引いた額が返金されます。ただし、療養費は、支払った医療費が全額返金されるとは限りません、入院時の食事代などは保険外の費用となるためです。
例えば
自己負担した金額 120,000円 の内 入院時食事代 2,000円の場合
保険給付と認められた額 10,000円={12,000円(自己負担額)-2,000円(食事代)}
実際に自己負担した額は12000円ですが食事代2000円は保険外の費用となりますので
保険給付の認められる額は10000円
療養費として返金される額 70,00円={10,000円-3,000円(自己負担3割の場合)}
保険給付と認められた額は10000円から自己負担額3000円を差し引いた7000円が療養費として返金される。
保険診療 と 自由診療
保険診療
保険診療とは、保険証を提出して2~3割の自己負担ですむ、健康保険の対象となる診療のことを言います。
自由診療
自由診療とは、保険の対象とならない全額自己負担となる診療のことです。保険証を忘れたなどで窓口に保険証を提出できない場合も自由診療になります。
保険診療 と 自由診療では診療費が違う
診療費は病院が行った診療を点数にして計算しています。保険診療は保険点数の1点を10円として計算することになっていますが、自由診療の場合には病院が1点を何円にするかを自由に決めることができます。
例えば、自由診療で1点20円や30円と病院が決められるということです。
療養費は保険診療で計算した額しか返金されない
療養費の計算は、病院等で保険証を提出して保険診療を受けた場合の金額から一部負担金相当額を差し引いた額が返金されます。つまり1点10円で計算されるということです。
ところが、保険証を忘れたなどで自由診療の場合には1点20円で計算された金額を病院の窓口で支払うことになるかもしれません。保険診療の1点10円より10円も多い額で計算され支払った額は療養費として支払われないことになります。
病院窓口なら自由診療を保険診療で再計算してくれる
自由診療の金額が保険診療よりも高い病院の場合、できるだけ病院で手続きしてもらうことをおすすめします。
時 効
全額自己負担した(支払った)翌日から2年を経過すると申請できなくなります。
申請手続き
ここでは「協会けんぽの」の立替払いの場合の申請について説明します、健康保険組合に加入している方は各健康保険組合にお尋ねください。
必要なもの
健康保険療養費支給申請書
診療明細書(傷病名が記載されたもの必要)
病院の領収書
支払方法
申請書に記入した振替希望口座へ振り込み
まとめ
保険証がなくて全額自己負担しても請求すれば返金してもらえます。ただ、自由診療の場合は保険診療より診療代金が高くなることがあり、健康保険に療養費の請求をしても自己負担の全額が返金にならないこともあるので、できるだけ病院に相談して返金してもらう方がよい。保険証は常に持つようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。