障害年金と他の社会保障制度との調整

障害年金をもらうときに、雇用保険の
基本手当や健康保険の傷病手当金など
の、他制度からの受給対象になること
があります。
これらは制度によって調整方法が
異なります。
■ 障害年金と基本手当
「基本手当(一般的に失業保険と
言われている)」は、雇用保険の
被保険者が失業したときに支給
されます。
また、傷病手当は、基本手当の支給を
受けられる人が、求職の申込をした
あとで病気になった場合に基本手当に
代えて支給されるものです。
基本手当の支給の条件は失業状態に
あることです。
失業とは、
「働きたいのに職業に就けないので
働けない」ことをいいます。
障害年金を受給している人が退職し、
「失業状態」にあれば、基本手当を
受給することができます。
傷病手当も同様に支給され、併給調整
されません。
しかし、
基本手当は、就労可能な人に支給される
もので、
障害年金2級の就労不能が条件になって
いる精神障害と内部疾患等の障害に
ついては、
同時に貰うことは難しいでしょう。
■ 障害年金と傷病手当金
「傷病手当金」は、健康保険から、
病気やケガで働けない時に1年6ヶ月を
限度に支給されるものです。
傷病手当金と障害年金が
同時に支給されるときは?
障害厚生年金の場合は、障害厚生年金
が支給され、傷病手当金は支給停止
されます。
ただし、
傷病手当金の額より障害厚生年金 +
障害基礎年金 の額が少ないときは、
その差額が傷病手当金として支給
されます。
障害基礎年金のみを受給している場合
は調整されずに両方支給されます。
■ 障害年金と生活保護
生活保護は、生活に困窮している人に、
最低限の生活を保障することを目的と
しています。
生活保護を受けるには、その人が利用
することのできるあらゆる資産、能力等
をすべて活用しても不足するものを
生活保護で補うものです。
ほとんどの場合、生活保護費が障害年金
額を上回りますので、
障害年金を受給することができる人は、
障害年金を優先的に受給し、不足分を
生活保護費として受ける事になります。
生活保護を受ける人からみれば、生活
保護を受けても、障害年金を優先的に
受給し、不足分を生活保護として
受けても実質的には変わらないこと
になります。
生活保護には、障害等級2級以上の障害
年金を受給している人には障害者加算が
あります。
■ 障害年金と労災保険
労災保険とは、仕事中や職場への通勤中
に事故や災害にあった場合に所定の
保険給付を行う制度です。
ここでの「事故」とは、「ケガをした」
「病気になった」「ケガをして体に障害
が残った」「死亡した」
などが含まれます。
業務上の災害または通勤災害により、
労働者が同じ傷病を原因として、労災
保険と障害年金が支給される場合は、
労災保険が次表のとおり減額調整され
ます。
障害基礎 年金 |
障害厚生 年金 |
障害基礎年金及 び障害厚生年金 |
|
障害補償年金障害年金 | 0.88 | 0.83 | 0.73 |
傷病補償年金傷病年金 | 0.88 | 0.86 | 0.73 |